2026年8月ニュースレター
2025年税務管理法の施行細則を定める2026年6月30日付政令第252号((Decree No. 252/2026/ND-CP)、ならびに税務管理法および政令第252号(No. 252/2026/ND-CP)のガイダンスである通達第89号(Circular No. 89/2026/TT-BTC )
本政令の主な変更点は以下のとおりである。
出国停止および租税債務の強制徴収
- 出国停止の適用基準となる具体的な租税債務額:
- 個人および事業世帯: 5,000万VND以上の租税債務が120日以上滞納している場合
- 企業および協同組合の代表者: 5億VND以上の租税債務が120日以上滞納している場合
- 税務当局による通知の日から120日を超えて登録住所において事業活動を行っておらず、納税者番号(TIN)の再有効化または抹消の手続を行っていない場合
- 強制徴収措置を適用しない最低租税債務額:
未納租税債務の総額が300万VND未満(組織の場合)および100万VND未満(個人および事業世帯場合)の場合、強制徴収措置は適用されない。 - 手続の自動化:出国停止および出国停止の解除に関する通知は、税務当局と出入国管理当局との間で、リアルタイムにデータが送受信される。
税務申告および修正申告の期限
- 修正申告の期限: 納税者は、誤りのある課税期間に係る税務申告書の提出期限から5年間、当該税務申告書を修正することができる。
- 期限の最終日の取扱い: 申告書の提出期限または納税期限の最終日が休日に当たる場合、その直後の営業日を期限とする。
2026年6月30日付で発行された政令第253号(Decree No. 253/2026/NĐ-CP):個人所得税法第109号(Law on Personal Income Tax No. 109/2025/QH15)の一部条項の主な内容、通達第87号(Circular No. 87/2026/TT-BTC):個人所得税法および政令第253号(Decree No. 253/2026/NĐ-CP)の主な内容
本政令の主な変更点は以下のとおりである。
1.1 適用範囲及び適用対象
- 政令では、納税者(居住者および非居住者)、課税所得、非課税所得、減税、課税標準、課税期間ならびに個人所得税(PIT)の源泉徴収、申告・納付、確定申告および還付手続について詳細を定めている。
- 居住者とは、暦年(又は連続する12か月間)において183日以上ベトナムに滞在する者、又はベトナムに常居所を有する者をいう。これらの条件を満たさない個人は、非居住者とみなされる。
1.2. 課税所得および課税所得に算入されない項目
- 食事手当(昼食等): 1人当たり月額120万VND以下の支給額については、個人所得税(PIT)が免除される。使用者が食事を直接提供する場合(自社で調理する場合または仕出し弁当を購入する場合)は、費用の全額について、個人所得税(PIT)が免除される。
- 住宅に係る補助:使用者が本人に代わって負担する家賃、電気代および水道代は、実際の負担額に基づき課税所得に算入する。ただし、当該事業所から発生する課税所得の総額(家賃を除く)の15%を超えないものとする。
- 課税所得に算入不要な項目: 外国人従業員(または海外勤務のベトナム人)の子女が幼稚園から高校まで就学するための学費、年1回の帰省航空券代、本人および扶養親族等に係る重篤な疾病の治療費・診療費に対する支援、ならびに技能・専門能力向上のための研修費等
1.3 非課税所得
政令では、非課税所得として幅広い項目が定められており、主なものは以下のとおりである。
- 親族間(夫婦、親子、兄弟姉妹等)における不動産の譲渡、相続または贈与による所得
- 個人がベトナム国内において所有する唯一の住宅および居住用土地の譲渡による所得(譲渡時点までに183日以上保有していることを要する)
- 信用機関における預金利息、政府債券の利息および生命保険契約に基づく利息
- 社会保険基金または任意年金基金から支給される年金
- オープン・エンド型投資信託の受益証券の譲渡による所得(保有期間が2年以上の場合)
- 高度人材に対する優遇措置: デジタル技術産業の高度人材および優先プロジェクトに従事するハイテク人材の5年間の所得
1.4所得控除
- 扶養控除: 納税者本人に係る控除および扶養親族に係る控除を含む。扶養親族には、子、配偶者、父母その他の所得および労働能力に関する要件を満たす扶養を必要とする親族が含まれる。
- 医療費及び教育費に係る控除: 居住者は、本人及び扶養親族のために支出した実際の医療費(年間最大2,300万VND)及び教育・研修費(年間最大2,400万VND)について、適法な請求書及び証憑を完備している場合、追加的に所得控除を受けることができる。
- その他の控除: 慈善、社会福祉および奨学目的の寄附金ならびに強制加入保険(社会保険、健康保険、失業保険等)の保険料を含む。
1.5.税額控除および所得税の確定申告
- 組織は、労働契約を締結していない個人または3か月未満の契約を締結している個人に対し、1回当たり500万VND以上の支払いを行う場合、10%の税率で個人所得税(PIT)を源泉徴収しなければならない。
- 個人がその他の所得を有し、当該その他の所得の年間平均月額が1,500万VND以下であり、かつ所得支払者により10%の個人所得税が源泉徴収されている場合、または納付税額が過大となっており、還付または翌期への繰越しを希望しない場合、個人は個人所得税の確定申告を行う必要はない。
1.6施行日
本政令は、事業所得、給与所得および賃金所得に関する規定について、2026年分の課税期間から適用される。また、本政令は、政令第65号(Decree No. 65/2013/ND-CP )およびこれまでの改正文書に全面的に置き換わるものとする。
2026年6月30日付で発行された
政令第254号(Decree No. 254/2026/NĐ-CP):2025年税務管理法に基づく電子インボイスおよび電子証憑に関する詳細規定、通達第91号(Circular No. 91/2026/TT-BTC):税務管理法および政令第254号(Decree No. 254/2026/NĐ-CP)の施行指導
以下、本法令の主要な内容についてまとめる。
1.1. 適用範囲および適用対象
- 適用範囲: 電子インボイスおよび電子証憑の種類、利用対象、記載内容、発行時期、利用登録、管理ならびに情報照会について規定する。
- 適用対象: 対象: 商品の販売、サービスの提供を行う組織・個人(企業、世帯事業者、個人事業者、事業単位)、購入者、電子インボイスサービス提供組織および税務管理機関を含む。
- 主な変更点: ベトナム国内の電子商取引プラットフォームまたはデジタルプラットフォーム上で事業活動を行う外国のサービス提供者が適用対象として追加された。
1.2. 主な電子インボイスの種類
- 税務当局のコード付き電子インボイス: 販売者が購入者に送付する前に、税務当局から固有の文字列(コード)が付与された電子インボイス。
- 税務当局のコードなし電子インボイス: 税務当局からコードの付与を受けることなく、販売者である組織が直接購入者に送付された電子インボイス。
- POSシステムから発行される電子インボイス: 税務当局との電子データ送信接続機能を備えたPOSシステムから発行された電子インボイス。
- その他: 付加価値税(VAT)インボイス、販売インボイス、公有財産の売却に係る電子インボイス、国家備蓄物資の売却に係る電子インボイス、ならびに電子スタンプ、電子チケットおよび電子カード等
1.3 発行および使用の原則
- インボイスの発行義務: 商品の販売またはサービスの提供を行う場合、販売者は購入者に電子インボイスを発行・交付しなければならない。これには、販売促進、広告、サンプル品、贈与または物品の交換の場合も含まれる。
- 利用登録: 電子インボイスを利用する前に、組織および個人は税務当局への利用登録を行わなければならない。
- 適法なインボイスの使用: 本政令では、不適法なインボイスの使用行為(偽造インボイス、使用価値がまだ認められていないインボイス、事業活動を停止した企業のインボイス等)およびインボイスの不正使用行為(架空のインボイスの発行、改ざん、密輸品の正規化を目的とした使用等)について明確に定める。
1.4 インボイスの記載内容および発行時期
- 必須記載事項: インボイスの種類、インボイス番号、販売者および購入者の情報(氏名・名称、住所、納税者番号)、商品・サービスの名称、単価、金額、税率、支払総額、電子署名および発行時点を記載しなければならない。
- 発行タイミング:
商品販売:商品の所有権または使用権を移転した時点
サービス提供: サービスの提供を完了した時点。ただし、サービス提供契約の履行を担保するため、民法の規定に基づく手付金を受領したは時点では、インボイスを発行する必要はない。
- 本政令では、電気、水道、通信、建設、石油・ガソリン、不動産および銀行等の分野について、特別なインボイス発行時点についても定めている。
2026年7月1日施行の関連者間取引に係る税務管理に関する政令第255号(Decree No. 255/2026/NĐ-CP)
2026年7月9日、税務総局は公文書第4697号(Official Letter No. 4697/CT-CS)を発行し、政令第255号(Decree No. 255/2026/ND-CP)の主な変更点を紹介するとともに、その施行方法について定めている。当該公文書の主な内容は以下のとおりである。
[1] 関連者について(第5条)
– 第5条第2項第1号に基づく借入・貸付による関連当事者関係の拡大: 「当該課税期間において、当該企業の所有者の払込資本の25%以上の出資の譲渡または受領を伴う取引を行う企業であって、かつ、当該課税期間中に取引が発生した時点において、当該企業の所有者の払込資本の10%以上を借り入れ、貸し付け、または当該企業を経営もしくは支配する個人、もしくは本項g号に規定される関係にある個人から借り入れ、または当該個人に貸し付けるもの」
従前の規定: 企業と、その企業を経営または支配する個人、あるいは特定の関係に該当する個人との間に、借入または貸付を通じて利害関係が生じることを規定する条項は存在しなかった。
– 政令第5条2項d.3号に規定する関連者を適用しない場合の追加: 債権者または保証人が、国が定款資本の100%を保有する債務の売買・処理を行う機能を有する組織であり、当該項a号およびc号の規定に基づき、債務者企業または保証対象企業の経営・支配、出資または投資に直接または間接的に関与していない場合。
従前の規定: 当該事項については、規定されていなかった。
[2] 関連者間取引の申告、価格算定および管理に使用するデータベースについて(第17条)
税務管理法第108号(Tax Administration No. 108/2025/QH15)第4条15項および税務管理に関する法令に基づき、参照する商業データベースについて改正・補足された。
– 関連者間取引価格の申告、算定および管理に使用する、国のデータベース
従前の規定: 当該事項については、規定されていなかった。
この規定の追加により、納税者および権限を有する当局が関連者間取引の申告、価格算定および管理において、アクセス・利用できる信頼性の高いデータベースの情報源が拡大された。
– 税務当局のデータベースに関する改正・補足: 税務管理法第108号(Tax Administration No. 108/2025/QH15 )第35条2項および税務管理に関する法令の規定を参照し、税務当局が保有するデータベースに関する規定が改正・補足された。
– データベースの利用における優先順位に関する規定を追加: データベースは、以下の優先順位に従って利用することとされた。
(i) 公開されているデータベースを優先して利用し、
(ii) 次に商業データベースを利用し、
(iii) 最後に税務当局のデータベースを利用する。
データベースの利用においては、関連者間取引の分析・比較が所定の規定に従って適切に行われることを確保しなければならない。
従前の規定: データベースの利用に関する優先順位については規定されていなかった。
2026年7月21日付で発行された政令第291号(Decree No. 291/2026/NĐ-CP):2020年10月19日付政令第125号(Decree No. 125/2020/NĐ-CP)の一部条項を改正・補足する政令。同政令は、2021年11月16日付政令第102号(Decree No. 102/2021/NĐ-CP)および2025年12月2日付政令第310号(Decree No. 310/2025/NĐ-CP)により改正・補足されており、税務およびインボイスに関する行政違反への制裁を規定する
租税・インボイスに関する情報交換を目的とした情報提供に係る行政違反に対する処罰規定を追加:具体的には、以下のとおりである。
- 10,000,000ドン以上30,000,000ドン以下の罰金: ベトナム法、ベトナム社会主義共和国が加盟国または締約国である国際条約もしくは租税に関する国際協定の規定に基づく情報交換を目的として、税務当局の要求に従って情報を提供する行為について、期限を5日以上経過した場合。
- 30,000,000ドン以上50,000,000ドン以下の罰金: ベトナム法、ベトナム社会主義共和国が加盟国または締約国である国際条約もしくは租税に関する国際協定の規定に基づく情報交換を目的として、税務当局の要求に従って不正確または不完全な情報を提供する行為
- 以下のいずれかの行為に対して、50,000,000ドン以上100,000,000ドン以下の罰金:
1.情報提供期限または税務当局の要請に基づく情報提供の延長期限が経過した日から15日を経過しても情報を提供しない行為: ベトナム法、ベトナム社会主義共和国が加盟国または締約国となっている租税に関する条約・国際協定に基づき、情報交換を目的として税務当局から要請された情報を提供しない行為
2.納税者との共謀または納税者の隠蔽・庇護: ベトナム法、ベトナム社会主義共和国が加盟国または締約国である国際条約もしくは租税に関する国際協定の規定に基づく情報交換を目的として、税務当局による情報の収集・確認を妨げるため、納税者と共謀し、または納税者を隠蔽・庇護する行為
是正措置: (2)および3.1に規定する行為については、完全かつ正確な情報を提供することを強制する是正措置を適用する。



