2017年2月ニュースレター
移転価格に関する新政令
2017年2月24日、関連当事者取引を有する企業に関する税務管理に関する政令20号(Decree No. 20/2017/ND-CP)が政府によって発行された。財務省によって発行された従来の通達66号(Circular No. 66/2010/TT-BTC)からの主な改正点は下記の通りである。
- 原則
税務局は、納税者の関連当事者取引価格の管理及び検証を、独立企業間取引及び実質優先主義に基づいて実施する。
- 関連当事者
関連当事者と判定される出資比率の要件が、20%から25%へ変更された。
従来、仕入総額あるいは売上総額の内、50%以上を占める仕入先及び売上先が関連当事者と判定されていたが、本政令では、当該要件が削除された。
- 比較分析
関連当事者取引が特有で、独立した比較対象取引を見つけることができない場合、比較分析の対象範囲が、産業、地理、対象年度の観点から拡大され、分析を実施する。
本政令第7条2項の市場価格算定方法(利益比較法)を適用する場合、比較対象取引又は企業の財務データを収集する際の対象年度の範囲の拡大は、納税者の対象会計年度から1会計期間に限定される。
4. 関連当事者取引を有する企業における特定のケースでの損金算入額の決定
一会計年度において損金とすることができる支払利息金額は、支払利息及び減価償却費控除前営業利益(EBITDA)の20%を限度とする。
- 関連当事者取引価格の申告及び決定に関する納税者の権利及び責任
納税者は下記の移転価格に関する書類を保管及び提示しなければならない。
– 納税者に関するForm No. 2に基づく報告書
– グループ会社に関するForm No. 3に基づく報告書
– 最終親会社の国際利益に関するForm No. 4に基づく報告書
(最終親会社とは、多国籍企業における他の企業の所有権を直接的又は間接的に保有する法人である。最終親会社は、その他の法人に所有されておらず、最終親会社の連結財務諸表はその他の法人の財務諸表に連結されない。)
- 移転価格文章の作成及び申告の免除
(i) Form No. 01のセクションIII及びIVの作成の免除
– 納税者と取引を有する関連当事者が、ベトナムの法人所得税の対象となる場合
– 納税者及びその関連当事者が、同じ法人所得税率を適用し、優遇税率の適用がない場合
(ii) 移転価格報告書の作成の免除(Form No. 01のみの提出)
– 売上が500億ドン未満及び関連当事者取引が300億ドン未満の場合
– 納税者が事前確認合意書(APA)に署名し、毎年APA報告書を提出している場合
– 納税者がシンプルな事業機能を持ち、無形資産の使用による収益及び費用が発生しておらず、売上が2,000億ドン未満で、支払利息及び税金控除前営業利益(EBIT)が流通業において5%以上、製造業において10%以上、加工業において15%以上の場合
- 税務局の移転価格税制に関する権利
税務局は、下記の場合、課税所得及び法人所得税の申告のために使用される取引価格、利益額、利益按分割合を決定する権利を有する。
– 納税者が、関連当事者取引の情報を提供しない又は提供した情報が不十分な場合、又は本政令に従ってForm No.1を提出しない場合
– 各Formに従って作成された移転価格に関する文章の情報が不十分な場合、又はForm No. 2及び 3が比較分析の基礎として使用されたデータ、証拠、文章を提供していない場合
– 移転価格に関する文章において、比較分析の実施及び関連当事者取引価格の申告のための情報が信頼性できず、非実用的な場合、不適法及び無効なデータ、証拠、文章が使用されている場合、関連当事者取引に適用される価格、利益率、利益按分割合の決定に使用される根拠が明記されていない場合
– 移転価格の規定に違反した行動がとられた場合
- 効力
本政令は2017年5月1日より有効となる。
事業登録料に関するオフィシャルレター
2017年2月28日、駐在員事務所の事業登録料に関するオフィシャルレター658号(Official Letter No. 658/TCT-CS)が税務総局によって発行された。
事業活動を行っている駐在員事務所は、事業登録料を支払わなければならない。一方、事業活動を行っていない駐在員事務所は、事業登録料を支払う必要がない。