2015年7月ニュースレター
個人所得税に関する新通達
2015年6月15日、事業を行う居住者における付加価値税(VAT)及び個人所得税の取り扱いについて規定した通達92号(Circular No. 92/2015/TT-BTC)が財務省によって発行された。
また、2015年7月24日、本通達を修正及び補足するオフィシャルレター2994号(Official Letter No. 2994/TCT-TNCN)が税務総局によって発行された。
資産のリースによる個人所得
- 資産のリースによる所得に係る個人所得税は、貸主が直接申告するか、又は借主が当該個人所得税を負担し、貸主に代わって申告することが契約書に明記されている場合、借主が申告納税する。
従前の規定では、貸主が税務局に直接個人所得税を申告しなければならなかった。
– 貸主は、支払期間に応じて、又は年に1度個人所得税を申告しなければならない。個人所得税の確定申告は必ずしも必要とされない。
従前の規定では、貸主は、四半期毎又リース契約毎に個人所得税を申告しなければならなかった。また、年度末に確定申告をしなければならなかった。
個人所得税が課税される収入額基準
- 年間の事業所得が100百万ドン以下の個人事業主は、VAT及び個人所得税を申告納税する必要はない。
従前の規定では、年間の事業所得が100百万ドン以下の個人事業主は、VATを申告納税する必要はないが、個人所得税を申告納税しなければならなかった。
- リース資産の一部を所有し、複数人又は家族で資産のリースを行なう個人事業主は、年間の総所得が100百万ドン以下の場合、VAT及び個人所得税を申告納税する必要はない。この場合、総所得の判定は、当該複数人又は家族の所得の合計額でなされ、代表者1人によって獲得されたとみなされる。
リース資産の一部を所有し、複数人又は家族で資産のリースを行なう個人事業主について、課税所得は各人に配分されなければならなかった。
組織と事業協力する個人事業主
- 個人事業主が組織と事業協力し、個人事業主が所有する資産を組織が使用する場合で、かつ当該協力事業からの収益額を確定できない場合、その個人事業主は協力相手である組織に一定率の税金を管轄税務局に申告納税することを委任することができる。
- 個人事業主が組織と事業協力し、個人事業主が所有する資産を組織が使用する場合で、かつ当該協力事業からの収益額を確定できる場合、その個人事業主は協力相手である組織に税金を管轄税務局に申告納税することを委任することができる。
従前の規定では、組織と事業協力をする個人事業主に関する個人所得税の特定の規定はなかった。そのため、個人事業主は、税務局に直接申告納税しなければならなかった。
その他の個人所得税に関する規定の修正及び補足
- 組織変更がなされ、新会社が旧会社の全ての税務義務を引き継ぐ場合、旧会社は組織変更の決定の公表日までに従業員の個人所得税の源泉徴収に係る通知を税務局に提出する必要はない。その代わり、新会社が当該通知を提出しなければならない。
従前の規定では、個人所得税が課税される所得を支給した全ての組織及び個人は、従業員の個人所得税の源泉徴収に関わる通知を税務局に提出しなければならなかった。
- 雇用主が従業員のために任意の保険料を支払った場合、保険金支払額から源泉徴収された10%について、従業員は確定申告する際に課税所得に含める必要はない。
従前の規定では、雇用主が従業員のために任意の保険料を支払い、保険金支払額から源泉徴収された10%の個人所得税に関する確定申告時の取り扱いに関する詳細規定がなかった。
- 外国人従業員のベトナムにおける雇用契約が終了し、ベトナムを出国する際に、民法に基づき、雇用主又はその他の組織又は個人に個人所得税の確定申告を委任することができる。
従前の規定では、雇用契約が終了した外国人居住者は、ベトナムを出国する前に、自身で個人所得税の確定申告をしなければならなかった。
商業銀行15行の電子納税システムへの加入
2015年8月14日、税務総局は、外国資本の商業銀行を含む15行と電子納税に関する協約を結んだ。
当該商業銀行15行は下記の通りである。Ocean Bank、VietBank、ANZ Vietnam、HSBC Vietnam、Standard Chartered Vietnam、Shinhan Vietnam、Vietnam-Russia Joint Venture Bank、VID Public Bank、Indovina Bank、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、Bank for Investment and Development of Cambodia、Bangkok Bankハノイ支店、BNP Paribasホーチミン支店。
税務総局は、他の商業銀行に対しても、年内に電子納税に関する協約を結ぶ予定である。
個人所得税の免税及び減免に関するオフィシャルレター
2015年7月23日、ハイテクプロジェクトに勤務する従業員における個人所得税の免除及び減税に関するオフィシャルレター2977号(Official Letter No. 2977/TCT-TNCN)が財務省によって発行された。
現行の法令に従い、個人所得税が免除又は減免されるケースは、下記の4つに限られる。
- 納税者の支払能力に影響を与える自然災害、火事、事故、重病等の困難に直面した場合(個人所得税法(PIT Law No. 04/2007/QH12)第4条より)
- 国際協定により個人所得税が免除される場合(個人所得税法(PIT Law No. 04/2007/QH12)第9条より)
- ODAプロジェクト(通達12号(Circular No. 12/2010/TTLT-BKHDT-BTC)に基づく)、NGOプロジェクト(通達55号(Circular No. 55/2007/TT-BTC)に基づく)、又はベトナムの国連に勤務し、個人所得税が免除される場合(通達57号(Circular No. 57/2007/TT-BTC)より)
- 経済区で勤務し、個人所得税が50%減免される場合(通達128号(Circular No. 128/2014/TT-BTC)より)
上記の規定の通り、ハイテクプロジェクト又はハイテク企業に勤務する個人の個人所得税は、免除及び減免されない。
会社負担の家賃における個人所得税の取り扱いに関するオフィシャルレター
2015年8月7日、オフィシャルレター3171号(Official Letter No. 3171/TCT-TNCN)が財務省によって発行された。
本オフィシャルレターによると、ベトナムの居住者であり、ベトナムで勤務している日本人駐在員が、親会社及びベトナム子会社から給与を受け取っており、ベトナム子会社が当該駐在員の家賃を負担している場合、当該家賃は個人所得税の課税所得に含まれる。ただし、親会社及び子会社から支給される課税所得合計額(家賃を除く)の15%を超えてはならない。