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2025年10月ニュースレター

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202611日施行の会計制度に関する財務省通達第99(Circular 99/2025/TT-BTC)

2025年10月27日、財務省は通達第99号(Circular No. 99/2025/TT-BTC)(以下「通達99」)を発行し、企業会計制度に関する指針を示した。本通達は、2014年12月22日付で発行された財務省通達第200号(Circular No. 200/2014/TT-BTC)、及びその改正・補足する通達、並びに2012年11月15日付で発行されたプロジェクト事業主向け会計指針を示す財務省通達第195号(Circular No. 195/2012/TT-BTC)に代わるものである。本通達は、ベトナム国内のすべての経済分野で事業を行う企業(親会社、法人、及び従属事業体を含む)に適用され、会計及び管理に関する法令遵守を確保することを目的としている。

通達第99号と通達第200号における主な変更点:

1.1会計勘定に関する変更内容

  • 会計勘定科目の名称変更:

勘定科目155 – 製品(旧「製品仕掛品」)

勘定科目242 – 繰延資産(旧「前払費用」)

勘定科目419 – 自己株式(取得株式)(旧「自己株式」)

  • 勘定科目215 – 生物資産の追加。本通達99では、以下の詳細な補助勘定も規定されている。2151 – 定期家畜、21511/21512 – 未成熟期/成熟期、21521/21522 – 原価/減価償却累計額、2152–2153 – 作物、及び一時産品
  • 勘定科目821 – グローバル・ミニマム課税の分離: 既存の8211(法人税)及び8212(法人税等調整額)に加え、通達99では8211の下に以下の階層が追加されている。

82111 – 法人税法に基づく当期法人税費用

82112 – グローバル・ミニマム課税に基づく追加法人税費用

 

1.2財務諸表に関する変更

“貸借対照表”の名称を”財務状況報告書”に変更する。

財務状況報告書における新規項目(及び一部項目のコード変更)

  • 生物資産(流動資産 – コード150:固定資産 – (コード230)、詳細は以下の通り

定期的な家畜、季節作物または一回収穫作物、生物資産の減損引当金

  • 満期保有目的投資-短期(コード124)、その他の短期投資(コード125)、その他短期投資の減損引当(コード126)
  • 配当金・利益剰余金未払(コード313)
  • 長期性租税及び国庫負担金等(コード333)

財務状況報告書から削除された項目:貸付金、建設投資用資金、及び、その他の基金等

損益計算書に新規項目を追加:投資不動産の売却・処分による損益(コード21)

1.3 会計上の通貨単位に関する新規規定の追加

従来、通達200号では、VND建て、又は承認された外貨の使用のみが許可されていた。

通達第99号の第4条、5条、6条では、会計における基準通貨の決定方法、変更方法、及び換算方法について明確に規定している。具体的には以下の通りである。

  • 企業が会計通貨として外国通貨を使用することを認められる場合、収益、費用、資本調達に関する条件を満たす必要がある。
  • 会計通貨を変更する場合(例:USD建てからVND建てへ)、その変更は会計年度の開始時に行い、企業が頻繁に取引を行う銀行の平均為替レートを使用しなければならない。
  • 会計帳簿が外国通貨で記録されている場合であっても、財務諸表は引き続きベトナムドン(VND建て)で提出しなければならない。

1.4 通達第99号では、財務状況報告書における流動資産・固定資産、及び流動負債・固定負債の分類にについて、詳細に規定している。

1.5通達第99号では、外国通貨で作成された財務諸表をVND建てに換算する際の新たな規定を導入している。企業は、以下の原則に従って財務諸表の各項目を換算しなければならない。

  • 資産、及び負債:企業が最も頻繁に取引を行う商業銀行の平均為替レートを使用して換算する。
  • 株主資本(出資金、資本剰余金、その他資本、社債転換権等):出資日当日の実際の為替レートを使用して換算する。
  • 資産の再評価差額: 再評価日当日の実際の為替レートを使用して換算する。
  • 損益計算書、及びキャッシュ・フロー計算書の項目: 取引発生時の実際の為替レートを使用して換算する。ただし、会計期間中の平均為替レートが実際の取引為替レートに近似している場合(許容範囲内の差異である場合)、企業は会計期間の平均為替レートを適用することができる。

1.6 会計上の主要原則

  • 売掛金を貸方に計上する場合や買掛金を借方に計上する場合、会計担当者は実際の取引為替レート、又は帳簿に記録された為替レートのいずれかを選択して使用することが認められる。
  • 外国通貨建て貨幣性項目の再評価の原則:会計期間末において、企業が通常取引を行う商業銀行の平均送金買値・売値為替レートに従って、すべての外国通貨建て貨幣性項目の残高を再評価するものとする。(外国通貨建て要求払預金の残高については、預金口座を保有する商業銀行の平均送金買値・売値為替レートに従って再評価を行うものとする。なお、貸倒引当金が計上されている外国通貨建て売掛金については再評価を行う必要はない)。
  • 建設仮勘定(仕掛資産)の費用資本化原則の追加:固定資産および投資不動産の建設投資活動に直接関連する費用(建設投資活動を行う上で必要かつ回避できない費用)及び、建設中の資産が予定工期に比して遅延や中断が異常に発生していない場合のみ、未完成資産の価値として資本化できるものとする。なお、為替差損益は建設中の資産価値には含めないものとする。