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2025年8月ニュースレター

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202587日付で政府によって公布された、ベトナムで就労する外国人労働者に関する規定を定める政令第152(Decree No. 152/2020/ND-CP)及び政令第70(Decree No. 70/2023/ND-CP) (政令第152(Decree No. 152/2020/ND-CP)の改正・補足)に代わる、政令第219(Decree No. 219/2025/ND-CP)

ベトナムにおける外国人労働者に関する政令第219(Decree No. 219/2025/ND-CP)の主な新たな規定は以下のとおりである。

(1) 専門家に対する労働許可証の発給条件から、3年間の職務経験要件が廃止された

政令第219号(Decree No. 219/2025/ND-CP)第3条3項に基づき、専門家とは、次の者をいう。

a) 学士以上(これと同等以上の学歴を含む)の学位を有し、かつ関連分野において2年以上の実務経験を有する者

b) 学士以上で、かつ、以下の特定分野(科学、技術、イノベーション、国家デジタル・トランスフォーメーション、又は社会経済開発の優先分野)で就労する場合には、少なくとも1年以上の職務経験を有する者

従前、政令第152(Decree No. 152/2020/ND-CP)33項によれば、すべての専門家は、関連する職務経験が最低3年以上、または少なくとも5年の職務経験を有し、かつ、外国人労働者がベトナムで従事する予定の職務に適した専門資格を有することが求められていた。

(2) 202587日以降、外国人労働者に対する労働許可証は、各省・市人民委員会により発給される

政令第219号(Decree No. 219/2025/ND-CP)第4条の規定に基づき、省人民委員会は、外国人に対する労働許可証の発給機関であるとともに、その所管下の専門機関に対して当該権限を委任することができる。

(3) 犯罪経歴証明書の発給は、労働許可証と同時にオンラインで行われる

政令第219号(Decree No. 219/2025/ND-CP)第6条3項では、労働許可証の発給手続きと国家公共ポータルサービス上での犯罪経歴証明書発給手続きと連動して同時に実施するプロセスが追加された。これにより、使用者は両書類の発給申請書類をオンラインで同時に提出することが可能となる。

– 労働許可発給申請書類

– 外国人労働者からの委任に基づく犯罪経歴証明書発給申請書類

この連動したプロセスは、国家公共ポータルサービス、労働許可証発給機関(省・市人民委員会所属)、及び犯罪経歴証明書発給を行う警察機関との間で運用される。その結果、労働許可証と犯罪経歴証明書の電子版が同時に発給される。

(4) 政令第219 (Decree No. 219/2025/ND-CP)7条では、ベトナムにおいて労働許可証を必要としない外国人の15のケース

新たな規定では、外国人が、金融、科学、技術、イノベーション、国家デジタル・トランスフォーメーション、その他の社会経済開発の優先分野で就労する場合、かつ関連省庁、省庁級機関、または省・市人民委員会により認定されている場合に、労働許可証が免除される旨が追加された。

(5) 年間の総就労日数が90日未満の外国人は、労働許可証の取得対象外である

政令第219号(Decree No. 219/2025/ND-CP)第7条13項(a)によれば、外国人労働者がベトナムで就労する場合、年間(1月1日から12月31日まで)の総就労日数が90日未満であれば、労働許可証の取得対象外である。しかし、第9条4項に基づき、この場合の雇用者は、少なくとも3営業日前までに主管当局に書面で通知する義務がある。

従前、政令第152(Decree No. 152/2020/ND-CP)72項においても、1回の就労期間が30日未満かつ年間90日を超えない場合の外国人について労働許可証の免除が定められていたが、通知義務については明確に規定されていなかった。

(6) 労働許可証免除確認書が不要な場合の通知に関する変更

政令第219号(Decree No. 219/2025/ND-CP)第9条4項に基づき、本規定7条13項(a)及び4、5、6、8項並びに労働法第154条4、5、6、8項に規定されている場合には、労働許可証免除確認書の発行手続きを行う必要はない。ただし、雇用者は、当該外国人労働者がベトナムで就労する予定の省又は市において、確認書の発行を担当する主管当局に、当該外国人労働者が就労を開始する少なくとも3日前までに通知する義務がある。

従前、政令第152(Decree No. 152/2020/ND-CP)8条において、確認書が不要な場合には、雇用者は労働傷病者・社会省又は省レベルの労働局に報告するだけでよかった。

(7) 労働許可証の発行期間は10営業日である

政令第219号(Decree No. 219/2025/ND-CP)第22条3項によると、労働許可証発給のための申請書類がすべて揃った日から10営業日以内に、主管当局は申請内容を審査・承認し、本政令の附属書式第04号を用いて外国人労働者に対する労働許可証を発給するものとする。

従前、政令第152(Decree No. 152/2020/ND-CP)152項では、外国人労働者に対する労働許可証を発給する際、申請書類がすべて揃った日から少なくとも5営業日以内に発給することのみが規定されていた。

(8) ある省・市で発給された労働許可証は、複数の地方での就労が可能である

政令第219号(Decree No. 219/2025/ND-CP)第22条5項によると、既に複数の省又は直轄市での就労が可能な有効な労働許可証を所持する外国人労働者は、複数の地方での就労が可能である。ただし、雇用者は、当該外国人労働者が就労する予定の省又は市に対して、就労予定日の少なくとも3日前までに主管当局へ通知する義務がある。

(9) 労働許可証の延長は1回限りで、最長2年までとする

政令第219号(Decree No. 219/2025/ND-CP)に基づき、労働許可証の延長は1回のみ行うことができ、延長期間は最長2年までとする。

従前、政令第152(Decree No. 152/2020/ND-CP)では、延長期間は最長2年とされていたが、延長回数の制限は設けられていなかった。

(10) 労働許可証及び労働許可証免除確認書の取り消しに関する新規定

政令第219号(Decree No. 219/2025/ND-CP)第30条及び32条によれば、労働許可証又は労働許可証免除確認書は、以下の場合に取り消される。

  • 書類の有効期限が切れた場合
  • 外国人労働者、又は企業による、労働許可証の発給、更新、又は不正使用に関する違反行為があった場合
  • 外国人労働者が起訴される場合、又は刑事責任を問われる場合
  • 企業が事業を停止した場合
  • 海外の派遣元から、当該労働者が就労を停止する旨を通知する書面がある場合

従前、政令第15(Decree No. 152/2020/ND-CP)では、労働許可証の取り消し理由が各条項に分散して規定されており、労働許可証免除確認書の取り消しについては規定されていなかった。