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2015年6月ニュースレター

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法人所得税に関する新通達

2015年6月22日、政令12号(Decree No. 12/2015/ND-CP)の適用指針について定めた通達96号(Circular No. 96/2015/TT-BTC)が財務省によって発行された。また、2015年6月24日、通達96号を補足するオフィシャルレター2512号(Official Letter No. 2512/TCT-CS)が税務総局によって発行された。

損益通算

ある課税期間において、不動産、投資プロジェクト、投資プロジェクト出資権(鉱物の探査及び採掘は除く)の譲渡損失が発生した場合、当該損失を事業利益(通達78号(Circular No. 78/2014/TT-BTC)第7条に規定されるその他収益を含む)と相殺することができる。事業利益と相殺しきれない損失については、法定期限内まで繰り越すことができる。

 

益金の認識タイミング

サービス提供における収益は、サービス提供の全て又は一部が完了したときに益金として認識される。ただし、通達78号第5条3項で規定される特定の状況及び通達119号(Circular No. 119/2014/TT-BTC)第6条1項で規定される財とサービスの交換の場合を除く。

従前の規定では、サービス提供における収益は、サービス提供が完了したとき又はインボイスが発行されたときに益金として認識されていた。もし、サービス提供の完了の前にインボイスが発行された場合は、インボイスが発行されたタイミングで益金として認識されていた。

 

損金算入及び損金不算入費用

  • 災害による損失

自然災害、伝染病、火災、その他災害により損失を蒙り、補償を受けることができない場合、損失金額についての決定書を作成し、要求された場合のみ税務局に提出すれば、当該損失を損金に算入することができる。従前の規定にあった災害による損失の説明資料の税務局への提出及び人民委員会からの証明の入手義務は廃止された。

  • 固定資産の減価償却費

図書館、幼稚園、スポーツ施設等の従業員のための施設及び職務上の教育のための施設の固定資産の減価償却費を損金として算入することができる。

  • 原材料等の標準消費量

原材料、燃料、エネルギー等の標準消費量を各事業者で決定し、それを超える支出費用が損金不算入となる規定が廃止された。ただし、政府によって合理的な標準消費量が規定されている場合は、それを超える支出費用は損金不算入となる。

  • 個人からの資産のリース

事業者が個人から資産のリースを受ける場合、リース料を損金として算入するためには、リース契約書及びリース料支払証憑を保管しなければならない。

事業者が個人から資産のリースを受ける場合で、契約により事業者が個人に代わってVAT及び個人所得税等を納税する場合、リース料を損金として算入するためには、リース契約書、リース料支払証憑、納税証憑を保管しなければならない。この場合、納税額を含めたリース料全額を損金に算入することができる。

  • 従業員に対する給与及び報酬

従業員のために支給する生命保険費用の内容が、雇用契約書、労働協約、社内財務規定、権限者の承認のある報酬規定等の内のいずれかに記載されていない場合、損金に算入することができない。

従前の規定では、一人当たり月百万ドンを超える生命保険費用を損金に算入することができなかった。

ベトナム事業者が、外国人従業員のベトナム勤務期間の住居費用を負担する旨の契約を国外事業者と結んだ場合、当該住居費用はベトナム事業者の損金に算入することができる。

  • 出張手当及び費用

従業員に対する出張手当の損金算入限度額の規定が廃止された。また、出張費用につき、適切なインボイスがあれば、損金に算入できる。社内の財務規定に準拠して出張手当が支給されている限りにおいて、全ての出張手当を損金に算入することができる。

従前の規定では、財務省が定めた公務員の出張手当の2倍を超える手当を損金に算入することができなかった。

従業員が国内外を問わず出張をする場合で、航空券費用等の20百万ドン以上の支払いを個人の銀行カードで行った場合、下記の要件を満たす限りにおいて、当該支払いは非現金決済と認められ、費用を損金に算入することができる。

+ 財又はサービス提供者から適法なインボイスを入手していること

+ 出張命令書が作成されていること

+ 社内の財務規定に、出張費用について個人の銀行カードによって立替払いをすることができ、後で事業者が精算できる旨が明記されていること

  • その他収益

事業登録証に記載のない事業活動から発生した収益は、その他収益として課税所得に含められる。従前の、国外への投資プロジェクトからの収益がその他収益とみなされる規定は廃止された。

課税所得の計算上、主要な事業活動の収益及び費用に関連しない為替差損は財務費用として計上され、為替差益はその他収益として計上される。

課税所得の計算上、主要な事業活動の収益及び費用に関連しない、外貨建て金銭債務の会計年度末の換算替えによる為替差損は財務費用として計上され、為替差益はその他収益として計上される。

従前の規定では、主要な事業活動の収益及び費用に関連しない為替差損は営業費用として計上され、為替差益はその他収益として計上されていた。また、課税所得の計算上、主要な事業活動の収益及び費用に関連しない外貨建て金銭債務の会計年度末の換算替えによる為替差損は営業費用として計上され、為替差益はその他収益として計上されていた。

  • 会社分割等における繰越欠損金

会社分割又は事業分離が実施される以前の繰越欠損金で、繰越期間が法定期限以内の場合、出資割合に応じて、会社分割又は事業分離後の事業者に引き継ぐことができる。

  • 出資金譲渡時の譲渡原価

設立時からの出資者が出資金を譲渡する場合、会計帳簿、インボイス、その他証憑に基づいて計算された譲渡日までの純資産簿価によって譲渡原価が決定される。100%外国資本の企業の場合、譲渡原価は、独立の監査法人による監査報告書に基づいて計算された純資産簿価によって決定される。

機能通貨がベトナムドンである事業者が外貨建てで出資金を譲渡する場合、事業者が譲渡時に開設している商業銀行の買いレートを用いて譲渡価格をベトナムドンに換算して、譲渡損益を計算しなければならない。

従前の規定では、事業者によって拠出又は購入された出資金が貸付金からきている場合、譲渡原価に貸付利息を含めなければならなかった。また、譲渡価格が外貨建ての場合、譲渡時の中央銀行の平均レートによってベトナムドンに換算しなければならなかった。

  • 法人所得税の優遇税制

輸送事業の投資プロジェクトを営む事業者が、工場団地、経済区、ハイテクパーク等の優遇地域に所在しており、輸送元又は輸送先が当該地域内(輸送元と輸送先が同地域内を含む)であれば、優遇地域内で提供した輸送サービスであるとして、法人所得税の優遇税制を適用することができる。

優遇地域に所在していることに起因して投資プロジェクトに優遇を与えられている事業者が、同地域外で所得を獲得する場合、所得を獲得した場所が優遇地域外であれば、優遇を適用できないが、所得を獲得した場所が優遇地域であれば、優遇を適用できる。実際の優遇税制の適用は、事業主の所在地ではなく、所得を獲得した優遇地域における優遇制度の内容に基づく。

2014年1月1日以前に投資ラインセンスの認可を受けた投資プロジェクトが、まだ建設中等の理由で収益を獲得していない場合、新規の投資プロジェクトとして法人所得税の優遇税制が適用される。

従前の規定では、2014年1月1日以前に投資ラインセンスの認可を受けた投資プロジェクトが、まだ建設中等の理由で収益を獲得していない場合、投資ライセンスの改訂をした場合に限り、新規の投資プロジェクトとして法人所得税の優遇税制が適用されていた。

新規の投資プロジェクトは、投資法に基づいた投資ライセンスの認可を受けなければ、優遇税制を適用することができない。

優遇税制の認可を受けた事業者が、事業登録証及び投資許可証を改訂し、その改訂が優遇税制適用の条件に影響を与えない場合、事業者は残りの期間においても優遇税制を適用でき、条件を満たすことができれば追加投資による所得に対しても優遇税制を適用することができる。

有効日

本通達は2015年8月6日より有効となり、2015年度の課税年度より適用される。

通達78号第6条2項2.21号及び第20条5項及びその他の財務省及び政府機関によって発行された法人所得税に関する法規定に対して、本通達が優先される。

会計年度が暦年と異なる事業者に対して、本通達による法人所得税の優遇税制の規定は、2015年度の残りの課税期間より適用される。その他の規定については、2015年1月1日以降に適用される