2019年6月ニュースレター
税法改正
2019年6月13日、税法38号(the Law on Tax Administration No. 38/2019/QH14)が国会より発行された。主な内容は下記のとおりである。
– 個人所得税(PIT)の確定申告書提出期限の延長:
現行の税法によると、個人所得税(PIT)の年度末の確定申告書の提出期限は12月31日から90日後である。一方で2019年の税法第44条2項では、個人が直接税務局に対して個人所得税(PIT)の確定申告書を提出する場合には、その提出期限は12月31日から4ヶ月目の最終日となっている。
-納税者の権利の拡充
納税者は、税還付手続き時において、税還付までのスケジュール、還付不能額、還付不能と判断した法的根拠などの情報の入手や、納税当時において税務当局から発行された通知等に従って申告・納税している限りにおいては、納税者は税務上の罰金や遅延利息の支払いをその後科せられることはないなど、2016年の税法に比べ納税者の権利がいくつかの点で拡充された。
-電子商取引や移転価格に焦点を当てた税制が今回の税制改正に含まれている。
当該税法(the Law on Tax Administration No. 38/2019/QH14)は2019年7月1日より施行される。
海外の契約者に対して支払われる仲介手数料に係る外国契約者税(FCT)に関するオフィシャルレター
2019年6月19日、海外の契約者に対して支払われる仲介手数料に係る外国契約者税(FCT)に関するオフィシャルレター9985号(Official Letter No. 9985/CT-TTHT)がビンズン省税務局によって発行された。ベトナム現地法人が海外で商品を販売するために海外の事業者を雇い、仲介手数料を支払う場合には、当該仲介手数料はベトナム国外の活動によって生じたものであるため、2014年8月6日付で財務省によって発行された通達103号(Circular No. 103/2014/TT-BTC)2条4項に従って、外国契約者税(FCT)の対象とはならない。一方で、ベトナム現地法人がベトナム国内で商品を販売するために海外の事業者を雇い、仲介手数料を支払う場合には、当該仲介手数料は外国契約者税(FCT)の対象となる。この場合の外国契約者税に適用される税率は、通達103号12条及び14条の規定による。
海外の契約者に対して支払われるコンサルティング費用の税務上の取り扱いに関するオフィシャルレター
2019年6月4日、海外の契約者に対して支払われるコンサルティング費用の税務上の取り扱いに関するオフィシャルレター884号(Official Letter No. 884/CT-TTHT)がバクニン省税務局によって発行された。ベトナム現地法人が人事コンサルティング費用、ビジネスプロセスモデル構築に係るコンサルティング費用又は社員研修費用を海外の事業者に支払った場合、及び当該コンサル業務の提供にあたり、ベトナム国内で業務を行った専門家に支払われた報酬に係る個人所得税(PIT)の税務上の取り扱いは以下のとおりである。
-法人所得税(CIT):当該コンサルティング業務の提供が既に完了していること及び会社の事業と関連することを証明する書類が整っており、また、通達78号(Circular No. 78/2014/TT-BTC)6条1項に規定された書類が整備されている場合には、当該費用は法人所得税計算上の損金に算入することができる。
-個人所得税(PIT):業務を提供した専門家がベトナムで就労した期間に係る全ての収入が課税所得となる。当該収入には、(1)ベトナム現地法人が支払う宿泊費、食費、交通費など(2)ベトナム国内での就労に対して、海外の事業者が当該専門家に支払った賃金・給与が含まれる。
専門家が、ベトナムで生じた所得に対して、2013年8月15日付で財務省によって発行された通達111号(Circular No. 111/2013/TT-BTC)18条に従って個人所得税(PIT)を納めることとなった場合には、当該業務を委託したベトナム現地法人は、当該専門家がベトナム国内にて個人所得税(PIT)を納める必要があることを海外の事業者に通知すると共に、同通達111号27条に基づき、税務当局に対してベトナム現地法人に業務を提供した専門家のリストを通知する必要がある。