2025年11月ニュースレター
2025年12月2日に政府が公布した政令第310号(Decree No. 310/2025/ND-CP) による、税務及びインボイスに関する行政違反に対する処罰を定める政令第125号(Decree No. 125/2020)(2026年1月16日施行)の改正
1. 税務分野における行政違反概念の拡大
政令第310号(Decree No. 310/2025/ND-CP)第1条において、税務に係る行政違反の範囲が拡大され、併せて当該概念の明確化が図られている。具体的には以下のとおり規定されている。
“税務に関する行政違反とは、組織又は個人が故意又は過失により、税務管理に関する法令、税法及び税務当局が徴収管理を行う国家予算に属するその他の収入(土地使用料、土地賃借料及び水面賃借料、鉱物資源採掘権使用料、水資源採取権使用料、国が資本金の100%を保有する企業において各種積立金を控除した後の残余税引後利益、株式会社又は二人以上の社員を有する有限責任会社における国家出資分に係る配当金及び分配利益、並びに企業における国家資本の管理及び投資に関する法令に基づく各種収入) に関する法令に違反して行う行為であって、犯罪には該当しないものの、法令の規定により行政処罰の対象となるものをいう。”
2. 税務及びインボイスに関する行政違反に対する処罰対象者の追加
政令第310号(Decree No. 310/2025/ND-CP )は、以下の各号に該当する場合には、第三者であっても、引き続き行政処罰の対象となる事例を追加している。
- 納税者に代わり納税義務を履行する権限を有する者:違反があった場合、当該権限を有する組織または個人は、行政上の制裁の対象となる。
- 納税者に代わり、納税のための登録、申告及び納付の義務を有する組織又は個人:違反があった場合、当該組織又は個人は、行政上の制裁の対象となる。
- グローバル税源侵食防止規定に基づき申告責任を負う構成事業体が違反した場合には、直接的に行政処罰の対象となる。
3. 政令第125号(Decree No. 125/2020/ND-CP)第2条10項に規定される、税務及びインボイスに関する行政違反に対する行政処罰の適用における不可抗力事由に関する規定の補足
“10. 不可抗力事由とは、自然災害、各種災害、感染症、火災、突発的事故、戦争、暴動、ストライキ、その他客観的に発生し、予見することができず、かつ納税者が必要な措置を尽くしたにもかかわらず、回避又は克服することができない事由をいう”
4. 複数の行政違反行為を行った組織又は個人に対し、行為ごとに処罰を行わないケースの追加
政令第125号(Decree No. 125/2020/ND-CP)では、第5条3項において、組織又は個人が複数の行政違反行為を行った場合に、行為ごとに処罰を科さない例外を4つのケースに限定して規定していたが、政令第310号(Decree No. 310/2025/ND-CP)により、新たに3つのケースが追加された。これにより、現在、組織又は個人が複数の行政違反行為を行った場合に、行為ごとに処罰を科さないケースは以下のとおりである。
- 同一時点において、納税者が同一の税目に関する複数の税務書類上の、1つまたは複数の項目を誤って申告した場合、当該誤った申告行為は、税務手続に関する違反として処罰される際、実施された行為の中で最も高額の罰金が科される申告項目1件のみが対象となり、反復行政違反の加重事情が適用される。
- 同一時点において、納税者が複数の課税期間に係る同一税目の申告書の提出遅延を行った場合、行われた各提出遅延行為の中で最も高額の罰金が科される1件のみが処罰対象となり、反復行政違反の加重事情が適用される。また、提出遅延された申告書の中に、脱税に該当する申告が含まれる場合は、当該脱税行為は別途処罰対象となる。
- 同一時点において、納税者が同一種類のインボイスに関する複数の通知書、または報告書の提出が遅延した場合、行われた各提出遅延行為の中で最も高額の罰金が科される1件のみが処罰対象となり、反復行政違反の加重事情が適用される。
- 不正なインボイスの使用、または不正なインボイスの使用に関する違反行為が、本政令第125号(Decree No. 125/2020/ND-CP)第16条および第17条に基づき処罰される場合には、政令第125号(Decree No. 125/2020/ND-CP)第28条に基づき処罰されることはない。
- 納税者が複数の不適切な時点でのインボイス作成行為を行い、かつ、これらの違反行為が処罰時効内にあり、同一行政違反事案として処罰される場合には、作成されたインボイスの数量に応じた罰金額を、政令第125号(Decree No. 125/2020/ND-CP)第24条2項の規定に基づき適用し、不適切な時点でのインボイス作成行為1件のみを処罰対象とする。
- 納税者が複数のインボイス未作成行為を行い、かつ、これらの違反行為が処罰時効内にあり、同一行政違反事案として処罰される場合には、作成されるべきインボイスの数量に応じた罰金額を、政令第125号(Decree No. 125/2020/ND-CP)第24条3項の規定に基づき適用し、インボイス未作成行為1件のみを処罰対象とする。
- 納税者が同一申告書上の複数の項目を誤って申告し、かつ、これが税務手続違反として処罰対象となる場合には、行われた行為の中で最も高額の罰金が科される1件のみが処罰対象となる。また、同一申告書上の複数の項目の申告誤りが、税務手続違反として処罰対象となる場合と、本政令第125号(Decree No. 125/2020/ND-CP)第16条または第17条に基づく処罰対象となる場合の両方に該当する場合には、第16条または第17条に基づく1件の行為のみを処罰対象とする。
5. 罰金の種類及び罰金適用の原則に関する規定の改正
罰金の種類について
- 税務手続及びインボイスに関する行政違反1件に対する罰金の上限は、行政違反処理に関する法令の規定に従うものとする。
- 申告誤りにより納付すべき税額が不足した場合、または免除・減免・還付された税額が規定を超えて増加した場合には、不足税額または過剰に免除・減免・還付された税額の20%を罰金として課すものとする。
- 脱税行為に対しては、脱税額の1倍から3倍の範囲で罰金を課すものとする。
- 政令第125号(Decree No. 125/2020/ND-CP)第18条1項の規定に基づく違反行為については、国家予算口座に振り込まれなかった金額に相当する罰金を課すものとする。
罰金適用の原則について
- 政令第125号(Decree No. 125/2020/ND-CP)において、罰金を適用する際には、各軽減事情につき罰金額の10%を減額し、各加重事情につき罰金額の平均額の10%を加算するものとする。ただし罰金額は罰金の範囲の下限を下回らず、上限を超えないものとする。
- 政令第310号(Decree No. 310/2025/ND-CP )では、軽減事情が2件以上の場合には罰金の下限額を適用し、加重事情が2件以上の場合には罰金の上限額を適用することを規定している。



